「今日はチックに気づかなかった!たぶんなかった」と帰って来ました。この時の驚きと喜びは、一生忘れることはありません。

◉CBIT(シービット)キダメソッドを受けられる前のお子さんの状況を教えてください

苦手な音楽発表会がきっかけとなり、幼稚園年少からまばたきのチックが出始めました。

年中ではその発表会前後に、まばたきと白目の運動チック、咳払いの音声チックが出ました。

年長からは、まばたき、口の周りを舐める、肩をすぼめる、鼻にシワを寄せるなど、数種類の運動チックが出たり消えたりしました。

小学生になると、大きな首振りチックが出始めました。

しかし、2年生までは学校ではあまり激しいチックは出ず、家で心配する程度でした。

小学校3年生より、学校でも音声チックが目立つようになりました。

音声チックを知らないクラスの子からは、授業中にふざけているように見え、「うるさい!」と言われました。

ここで初めて、クラスの子に先生から説明していただきました。

幸い、クラスの子にはすんなりと理解してもらうことができ、それと同時に、学校の教職員全体への共通理解と対応についてもお願いしました。

この1年で、細かいものも含めて、約40種類の運動チックと、約10種類の音声チックが出ていました。他に、マジックテープの音を嫌がったり、聴覚過敏、嗅覚過敏な様子、強迫性障害の不潔恐怖、怒り発作、不安障害のようなものも見られ始めました。

児童精神科へ通院し始め、投薬治療も開始しました。

エビリファイの服用を1回0.5g(1日2回)からスタートです。

薬は、飲み始めは少しチックがマシになるのですが、副作用が出るため、薬に体が慣れるまで大変でした。

そして、またチックがひどくなると薬を増量。増量すると、しばらくはチックはマシになるが、また副作用に悩まされるという日々でした。

毎回、薬の効果と副作用の狭間で悩みました。

小学校4年生、夏休みにエビリファイを1回0.2g(1日2回)に増量しました。

すると、副作用が強く、登校してもめまい、お腹のグルグル感、吐き気、眠気が強過ぎて、まともな学校生活を送れなくなりました。

2週間後に減薬しましたが、この頃から保健室での休憩、早退、欠席する日が増えていきました。

そして、通常学級では厳しいのではないかと感じ、こちらから学校にお願いするかたちで支援学級に転籍しましたが、以前のように安定的に登校することはできなくなりました。

小学校5年生になりました。

すると、ますます早退する日が増え、一日中登校できる日は月に1回あるかないかになりました。

みんなは登校できているのに、それができない自分にイライラ、チックにイライラ、暇すぎてイライラ…徐々に無気力になっていきました。

◉今回CBIT(シービット)キダメソッドを受けられることを決めた理由を教えてください

環境調整と投薬治療の限界を感じたからです。

また本格的な思春期を迎える前に、怒り発作への対処方法を学ばなければ、家の中が本当に大変なことになるという危機感を抱いたからです。

◉お子さんがCBIT(シービット)キダメソッドを受けられている中で変化したこと、気づいたこと、成果があれば教えてください

まず、9月末からセッションを開始し、10月の半ばには大きなチックの衝動がなくなっていました。

10月下旬にはさらにその衝動は減り、チックが減少すると同時に、怒り発作、強迫性障害の不潔恐怖、不安障害、感覚過敏な様子もあまり見られなくなりました。

親族一同驚いた点は、急激なチックの減少と共に、チックに付随する様々な症状も知らぬ間に消えていった点です。

以前はチックがひどすぎて思うように学校に行けなかった息子が、突然の無遅刻、無欠席、無早退。

諦めていた学校行事にもみんなと同じように参加できるようになりました。

挙げ句の果てに、バスケ部、野球部に入部し、セッションが終わったから、その曜日はサッカー部に入ると言い出しました。

また、家にいても思うように勉強ができなかった息子が、学校から帰宅したら宿題までしています。

勉強嫌いで、勉強は苦手な息子がこれだけ勉強しても(絶対に負荷が掛かっているはずなのに)チックは悪化していません。

怒り発作は出そうにはなることはまだありますが、自ら自分の部屋に行き(だいたい読書します)、落ち着いたらすぐに笑顔で戻って来ます。

でも、もう自傷行為や他害行為はありません。

不安が強く、すぐそこのトイレへ行くにも付き添いが必要だった息子が、YouTube、TV、ゲーム時間を制限したら(ゼロにするのは友達付き合いの点からも厳しいかなと思い、これら全てで1時間以内)、毎日自ら2階の自分の部屋へ読書をしに行くようになりました。

実家の広〜い田舎の家はさらにハードルが高く、息子のために人が通れば全て自動点灯するライトにしてありましたが、それでも洗面所、トイレ、それぞれの部屋には毎回誰かが付き添う必要がありました。

しかし、それも何事もなかったかのようにクリア。

気付いたら、これまた優雅に一人で2階の部屋で読書をしていました(笑)

今年の夏休みに祖父母と会ったときは本当に大変だったのに、11月に会ったら、まるで別人!!電話では報告していたのですが、やはり途中経過を直接見ていないので、私たち以上に驚いていました。

また強迫性障害による不潔恐怖は、セッション以降一度もなく、感覚過敏な様子もほぼ見られなくなりました。

眠たくてもチックがひどく寝られなかった日々、学校に行けなくて悔し涙を流しながら家に引きこもっていた日々、病院の待合室や静かな場所で音声チックが出ないか心配した日々、チックが原因で好きな習い事を諦めた日々、全てが遠い過去の出来事だったかのような今は不思議な感覚です。

また壁に自分のおでこをドンドンぶつける自傷行為のために購入した、頭を保護するスライムのかぶりものや、どうしてもドンドンしたい場合に自分のおでこをぶつけられるよう購入した大きなクマのぬいぐるみは、すっかり子ども部屋のインテリアとなりました。

姉に対する他害行為のため、急遽姉の部屋につけた鍵も、今では必要ありません。

以前は、急に姉の部屋に行き、髪を引っ張ったり頭を叩いたりすることがありました。

大事な学校プリントをぐちゃぐちゃにしたり、本棚のものを手当たり次第床にばら撒くこともありました。

ひと時も目を離せないような状況で、車の中でさえも頭突きをするので、2人一緒のときは、なるべく席を離して座らせていました。

衝動が落ち着くと、本人は、「本当はしたくないのにしちゃう…ごめんなさい」と言うので、姉も私たちも対応に困り、お互い自分たちのメンタルを保つことに精一杯だったと思います。

でも今は、「チックが出たらどうしよう」から「チックやその他の併発症状が出ても、もう自分で止められるから大丈夫だよね」という気持ちに変わりました。

◉CBIT(シービット)キダメソッドを受けた感想を教えてください

もっと早く木田さんに出会えていたらどんなによかったかという気持ちと、とにかく木田さんに巡り会えてよかった!という気持ちです。

セッション2回目までは、本人がまだこの方法でチックが本当に改善されるのか半信半疑だった点と、CB ITに慣れていなかったため、効果はまだまだでしたが、それらを一度理解すると、チックやその他の併発症状はグングンなくなっていきました。最初が1番しんどいと思います。

◉CBIT(シービット)キダメソッドをどんな人に勧めたいですか

①毎日の生活がチック中心になってしまい、チックに支配されてしまっている人。

②チックにより、色々なことを諦めてしまっている人。

③チックにより将来を見通すことができず、不安な気持ちでいっぱいな人。

④チックによる併発症状(怒り発作や泣き発作、不安障害、強迫性障害など)に悩んでいる人。

◉その他、何かチック、トゥレットのお子さんをお持ちの親御さん達にお伝えしたいことなどあればご自由にお書きください。

今までの日本の基本的なトゥレットへの考え方、「チック→優しい無視をすべき」をまず改めてください。

根本的な考え方を180度変えることは、大きな決断です。

でもCBITの基本である「自分のチックへの気付きを高めさせる」ことが、この治療の大きな第一歩になると思います。

また、チックが激しく出ている子どもを見るととても辛そうで、ストレスを与えてはいけないと思い、ついつい優しく接してしまいがちです。

実際、私もそうでした。

学校の先生方も、激しくチックが出れば出るほど、特別配慮をしてくださるようになりました。

宿題の免除、保健室での休息、遅刻、早退、欠席にもずいぶん寛容に対応してくださいました。

しかし、その優しさこそがチック悪化の一因にもなり得るという木田さんのブログ。

これを読んだときの衝撃は今でも忘れません。

でも、これは本当でした。

私たち親子は、1回目のセッションまでに木田さんのブログを全て読み、「どんなに激しい首振りチックが出ても早退はしない」というルールを決めました。

もうチックには負けない!チックを打ち負かそう!と、強く決意しました。

この決意の翌日、相変わらず激しい首振りチックが出ました。

登校した途端、容赦ない首振りチックが出て、先生の話では、教室への階段の上り下りには付き添いが必要なぐらいひどかったそうです。

そして、絶えず出続ける首振りチックに気持ち悪くなり、先生から「お迎えどうしますか?」といういつものお電話をいただきました。

いつもなら、もうここでギブアップです。

でも、ここで早退を許してしまうと今までと何も変わらない、この優しさがチックにはいけないと心を鬼にして、「嘔吐した場合は迎えに行きます。それまではお願いできますか?」と聞きました。

すると、先生も共に覚悟を決めてくださっていたので、「わかりました」と引き受けてくださいました。

結局、その日は朝から帰るまで、ずっと激しいチックが出続けていたそうで、私の心はかなり揺れ動きました。

本当にこんな酷なことをさせてもいいのだろうか…もしこれで報われなかったら…と。

本人は体力的にかなり消耗していましたが、翌日も休むわけにはいきません。

動揺する姿は見せないように、「チックvs◯◯だよ!そう簡単にはチックも負けてくれないよね。今日も迎えに行かないから、最後までチックと闘ってみて」と、送り出しました。

すると、この日には、「今日はチックに気づかなかった!たぶんなかった」と帰って来ました。

この時の驚きと喜びは、一生忘れることはありません。

このときの感覚は、赤ちゃんの断乳と同じです。

断乳当日、または数日は激しく泣き大変ですが、それに耐えると、もう泣くことはありません。

夜の授乳で起こされることもありません。

あのときの不思議な感覚と全く同じなのです。

だから、もし今チックで保健室を利用している子、宿題など勉強を免除してもらっている子、遅刻•早退•欠席している子がいたら、それは今すぐやめてくださいと言いたいです。

チックから逃げるのではなく、チックに立ち向かっていきましょう。

必ず、チックに打ち勝つ日が来ると信じて、諦めないでください。

チックと直接対峙する子どもが1番大変ですが、それを見守る親もかなり疲弊します。

その気持ちは痛いほどわかります。

でも私は乗り越えました。きっとあなたにも出来ます!!

木田のコメント

正直なところ、私はこの小5男子君が日常生活の中でお母さんの感想文にあるような大変な状態を過ごしてきたんだとは最後のセッションでお母さんから少しお話を聞くまで知らなかったのです。

最初のセッションでは真面目そうな様子でしたので、これは良くなるだろう、癇癪があるとは聞いているがどれくらいだろうか、というメモを残しています。

2回目のセッションで急に癇癪の発作を起こし、これは実はなかなか大変かもしれんなあと感じました。

癇癪が強い子の場合、CBITを真面目に練習しないことが多いため、効果が出にくいことがあるからです。

3回目のセッションは出て来なくなるのではないかと心配しましたが、案外平気な顔で参加してきてチックが大きく減っているとお母さんから聞きました。

4回目のセッションでは怒り発作が大きく減っているということでした。

この辺りから学校で強い目眩がするという訴えが本人からあり、耳鼻科を受診しても問題なしということだったということなので、チックと怒り衝動が減っていく過程で出てきているいわゆる揺り戻しのようなものではないかと感じました。

その目眩もセッションを重ねていくと出なくなっていったようです。

セッションは時間に限りがあるので、チック以外のお子さんの毎日の状況やCBITを始める前の事細かな事情を聞いている余裕がないのですが、4回目あたりで最近家庭の雰囲気が良くなってきて、お姉ちゃんと喧嘩することも無くなってきたくらいは聞いていました。

癇癪の発作を起こすことは聞いていたので、怒りや喧嘩はチックの引き金になるので、喧嘩は絶対禁止、家族みんなも小5男子君と言い合いや喧嘩になりそうになったら場所を変えたり、スルーしたりなどしてとにかく争いを避けるように指示させてもらっていました。

強迫障害やチックは、脳の抑制系の機能障害と言われることがあるように、衝動を発散、解消させたいという欲求を抑えられないことから起こってくることが多いのです。

感想文の中でお母さんが書いておられるように、チックのある子に対しては家族は腫れ物に触るように接することが多く、怒り発作も病気のせいだとある意味諦めて受け入れてしまう傾向があります。

あえてはっきりと言わせてもらうなら、チックは病気ではありません。

怒り発作も病気ではありません。

本人が抑制の拠り所を持たないために抑えきれなくなって習慣化してしまった行為に過ぎないのです。

今までに何度も書いてきたように、怒り発作や癇癪に対しては、この家庭内ではそういうことは絶対に許さないという厳格なルールを作る必要があります。

その時に私のような第三者が介入して、癇癪禁止、喧嘩禁止と厳命するのは効果が高いことがあります(いつも効くとは限りませんが)。

チックが減って怒り発作も消えていくというのは、私のCBITセッションの中では割と良くあることですが、この小5男子君のように、不安症や強迫障害的なものまできれいに減ってしまったというのはあまり経験したことがありません。

本人がそこそこ熱心に呼吸練習をしていたということはあったようですが、癇癪が減らずにセッションに参加しなくなる子もいる一方で、小5男子君をはじめとするチックも癇癪も大きく改善する子たちにはいったいどういう違いがあるのか、その点を解明できればCBITによる様々な症状の改善率をさらに向上できるんだけれどなと感じています。

愛知県の小5男子君は、笑顔が可愛らしく、癇癪を起こしていない時はとても素直で良い子です。

最初のうちは勉強はあまり好きではないと言っていましたが、最近は熱心に勉強しているそうなので、このままでいけば名古屋大学とかに行くような優秀な青年になっていくのではないかと期待してます。

小5男子君は結婚式には私を招待してくれるそうで、今彼は11歳ですから、30歳で結婚するとしたら今から19年後なので、私は81歳です。

多分まだしぶとく生き延びていると思うので、ちゃんと約束守ってな(爆)

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